砂布巾 AWC管理人
ISHIDAの特別商談会「彩時 by ISHIDA 2023」に招待していただきました。大阪から東京に赴任してたったの3年ですし、ISHIDAさんとのお付き合いも大したことはありませんが、色々あってお言葉に甘えることに。
パーク ハイアット東京39階の全フロアを貸し切って開催される壮大な催し物です。とんでもない数のスゴい時計が所狭しと居並ぶそこは「天上の桃源郷」。ちなみに今年のテーマは「感動・笑い・夢」だそうで、豊富な知識を持ったスタッフの皆さんがウイットに富んだ巧みな接客で、高級腕時計の魅力を深い感動とともに伝えて下さいました。
折角の催しですし、マルっと全ての時計を見てやろう!! くらいの鼻息だった私ですが、私の漏らした「とあるワード」が一緒に回って下さったスタッフさんの魂に火を点けたみたいで… 分不相応な「スゴい時計」ばかりを見せていただくことになりました。
その中でも、意外なところから現れた「とんでもなくスゴい時計」のお話をさせていただきます。テンション上がっちゃってその後の記憶が飛ぶくらいの一品です。
それは、真珠とダイヤモンドを中核に展開する日本のハイジュエラー「TASAKI」の「Odessa(オデッサ)」。しかも「トゥールビヨン」でした。
まず、己の不明を恥じなければならないでしょう。TASAKIさんが本気で腕時計に参入し、すでに重厚なコレクションを構築している事実に気付いていなかったのですから。
しかも、これほどまでに立派な「トゥールビヨン」を完成させている。独立時計師の浅岡肇氏が工程の全てで手腕を振るった「オデッサ トゥールビヨン」は、謂わば究極の「メイド イン ジャパン」なわけです。TASAKIさんの高級腕時計分野に賭ける「強い意志」がビシビシ伝わってきましたし、拝見する私の手は小刻みに震えました。
ゴールドを嵌めたあこや真珠のムーンフェイズ、マザーオブパールとダイヤモンドで文字盤に描かれた銀河… ともすればケバケバしくなりそうなそれらが、不思議なくらい上品に仕上がっている。TASAKIさんの「美意識」が「オデッサ トゥールビヨン」というプロダクトの中で、完璧な黄金比を成していました。
トランスペアレントから覗くムーブメントを見た瞬間、自分の体温が2度ほど上がったように感じた私。
浅岡さんが過去に作られたトゥールビヨンの面影は確かにありますが、それよりも「TASAKIの仕事」としての爪痕を強く感じました。こんなに男前なトランスペアレントは見たことがない。腕時計愛好家なら、きっと何十時間でも見つめていられるに違いありません。
それにしてもこの「ゴールド」です。イエローでもローズでもない、一種独特の熱を帯びた生命感のあるゴールド。実はこれ、TASAKIさんオリジナルの「SAKURAGOLD」という素材だそうで、その辺りのお話をTASAKIのスタッフの方が熱心に語って下さいました。TASAKI自慢の技術だそうです。
気になるのは「オデッサ トゥールビヨン」の価格。調べてもらえれば解ることですのでここには書きませんが、私からは「都心のワンルームマンション(中古)くらいのお値段」とお伝えしておきます。いや、もう少しお安いかな??
「オデッサ トゥールビヨン」はTASAKIが腕時計分野においても「ハイブランド」足りうるという、最初の証明になったはずです。ちなみに私はこの日拝見した別の時計「balance」というモデル… TASAKIさんのラインナップではミドルレンジに属しますが、これも滅法気に入りました。積んでいるムーブメントを考えたら、今のお値段「104万5000円」はかなりのお買い得に思えて… もしかしたらトゥールビヨンを拝見した衝撃で、金銭感覚がぶっ壊れただけなのかもしれませんけど。