募集中のテーマ『わたしを沼に引きずり込んだ一本』に、会員さまから初の「寄稿」がありましたので、謹んで掲載させていただきます。作者は「黒ラベル」さまです。
40代の中間管理職です。
私の立ち位置としては国産時計推しです。
セイコー、シチズン、オリエント、カシオ等。また価格帯も1〜3万円程度のものが大好物です。所有本数は15本くらい。そのきっかけとなった時計が以下となります。
私の沼きっかけは「GS SBGV005(クォーツ)」となります。購入自体は数年前、中古で購入しました。製造自体は2015年ぐらいかな。
時針分針が、まるで日本刀のようにシャープであるところに惹かれての購入です。セイコーロゴ入りの旧モデル。コアショップ限定モデルですので、秒針がブルーです。
GSの魅力 その1
サンレイ仕上げのシャンパンゴールドの文字盤です。これがですね。もうほんとにすごい。何がすごいって必ずと言っていいほど見るたびに色味が違って見えるのです。
少し薄暗い所だとホワイトシルバーのように見え、また蛍光灯の下ではゴールド寄りになったりします。極めつけは光の入射角度と各針の絶妙なポジショニングで芸術とも思える程美しい瞬間があるのです。インデックスの輝きと秒針のブルーの1秒間だけの煌めきとが刹那の調和を生み出します。
この瞬間を追い求めて何度も時計を見返しますが、まさしく過ぎ去った時間のように再見できないのです。でも確実にふとした拍子に訪れるのです。昔憧れた記憶の中の女性のようでもあり、また望んだ結果を得る事が出来る時もある、量子力学のようでもあります。(笑) この感覚を恐らく狙って作っているであろうプロダクトに・・・脱帽です。
GSの魅力 その2
各所の素晴らしい仕上げ。まぁGSなので仕上げは定評あるんですが、スタンダードの中に退屈を感じさせないような仕掛けがあるんですよね。
ガラスもフラット寄りのドーム型。GS44を現代解釈したデザイン。多面カットによる反射の違い…スラントノーズのように文字盤の立ち上げに角度がある所や、本当に嫌味の無い重量バランスを作るのはものすごい手間だろうな~と思います。
ベルトの作り込みも半端ないです。何でも最新のものが尊重される世の中で何年経っても素晴らしいものだと思います。そしてキズついても本質が失われないので、多少のキズは愛せます。研磨に出してキレイになる事を想像しても楽しいですし、実用時計なのだからキズは当然なのです。
個人的感想ですが、恐らく30~50万円のスイス時計を購入しても、この境地には到達しにくいと思います。
この時計をきっかけにアンティークに手を出して見たり、オリエントの時計ってかわいいよね~とかシチズンコレクションにむむっとなってみたり。チープカシオを子どもに買い与えた時に二度見したり、セイコー5の価格と反比例した完成度に、恐ろしい子!ってなったりしています。そんなこんなで妻に睨まれながら、順調に本数を伸ばしています。
乱筆ご容赦願います。
「黒ラベル」さま。ありがとうございます。GSをこよなく愛しつつも冷静に細部を分析することで、GSをお使いでない方にも魅力の多くを伝えて下さいました。
会員の皆さまも是非、ご自分が愛する腕時計のエピソードなどをお寄せ下さい。実際に使っている方の「生の声」ほど共感を得られるものはございません。皆さまの「熱い寄稿」をお待ちしております。
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